不妊の原因の約半数は男性にある

昨今では、男性の不妊についても耳にすることが増えましたね。でもまだまだ知られていない男性不妊50%の事実について書いてみたいと思います。

不妊原因の割合と日本人男性の傾向

まずはじめに、不妊症とは、定期的な性生活があるにも関わらず、とくに避妊などをしていないのに、2年以上妊娠しない場合をいいます。WHO(世界保健機構:1998年)の報告では、この不妊症と診断されたカップルの原因は、男性のみの場合が24%、女性のみの場合が41%、男女ともにある場合が24%、不明が11%という結果が出ています。言い換えれば、男性の原因が48%、女性の原因が65%で、「不妊症は女性の問題」というイメージが多い方と思いますが、現実は違っています。

更に悲しいことに、日本人男性の精子数はここ数十年減少の一途を辿っており、2006年に行われた日・欧共同研究では、調査した欧州4か国と比べて、日本人男性の精子数は最下位だったそうです。

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精液が減る原因は様々

精液の状態を知るには、病院で精液検査を受けるのが一番です。基準値は病院によって様々ですが、一応WHOが規定している基準は以下のとおりです。
精液基準値(WHO 2010年)
精液量―1.5ml以上
精子濃度― 1ml中に1,500万以上
総運動率―40%以上
前進運動率―32%以上
精子正常形態率―4%以上
白血球―1ml中に100万個未満

医療機関では、ほとんどのところがこれよりも高い基準を持っています。

精子が減る原因は実に様々で、先天性のものから、カゼやインフルエンザなどの発熱や、感染症による白血球の上昇、抜歯・歯の炎症、化膿した吹き出物などが原因で、精液中の精子が一時的に減ることもあります。また亜鉛、ビタミンの不足、たばこの吸い過ぎ、精神安定剤や、高血圧、潰瘍の治療薬などの服用時、ストレス、長期旅行中、そして精液検査への不安や緊張などでも一時的に精子数の減少や精液量の減少がみられることも多々あり、一度検査しただけではほんとのところはわかりづらいようですから、一度の検査の結果が悪いからといって落ち込みすぎないで、何度か精液検査を受けてみましょう。

男性不妊の原因

男性の精子の状態は、流産や早期破水、胎児疾患や胎児の死亡にも関連していて、不妊治療後の妊娠や着床、胎児の発育、そして分娩にも影響しています。妊娠の維持や出産・分娩などは、女性だけの問題ではなく、男性にもそれらの原因があるということをご存じでないかたも多いかもしれません。

*無精子症

無精子症とは、文字通り精液の中に精子が見当たらない状態です。無精子症にはタイプが二つあり、通路がふさがってしまっている閉塞性のものと、精子自体が造られていない非閉塞性のものがあります。

閉塞性のものは、精子の生産自体には問題がないので、手術で通路さえ確保できれば自然妊娠もできますが、非閉塞性の方は厄介で、無精子症の中でも80%と多く、治療は精巣の問題、もしくは精子をつくる命令を出しているホルモン系の問題です。どちらにしても治療は難しく、精巣内にある精子を探して取りだし、顕微授精することになります。

数年前、タレントの「ダイヤモンドユカイ」さんが無精子症で不妊治療を乗り越えて双子誕生というニュースがありました。ユカイさんは閉塞性だったそうです。無精子症が見つかりにくいのは、射精は問題なく出来るということ。射精はできるのですが、その中に精子がない状態なので、発見が難しいのです。

*乏精子症

乏精子症は、精子が少ない状態で、精巣の状態が悪く、うまく精子がつくられていない場合や、精巣の静脈にこぶのようなものができてしまう場合などがありますが、検査をしても全く理由がわからないケースも多いようです。

*精子無力症

もう一つ、男性不妊の原因で多く見られるのは、精子無力症です。これは文字通り精子に元気がない状態です。運動率が40%未満、直進運動率で20%未満が無力症となりますが、この検査で出されるデータは誤差が多く、精子を採取した時間帯や、計測方法などから大きな違いがみられることも多いようです。
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精子を護る

精子は熱に弱いので、熱いお風呂に長く浸からない、サウナに長時間入らない。パンツはブリーフよりトランクスを選ぶなどで対策しましょう。特にパートナーの低温期や排卵期は熱いお風呂やサウナは控えましょう。

お酒・たばこを控えめに。お酒は身体に「熱」をこもらせると共に、身体にとって邪魔な「湿」を作り出し、栄養を作り出す胃腸機能を低下させます。たばこは血行を悪くし、精巣への正常な栄養供給を邪魔します。熱と湿と血行の悪さは精子の運動を阻害し、精子の質を低下させます。

肉食が多い、脂ものがおおいなどの食事や、甘いものが多い、香辛料が多いなどは、やはり「熱」をこもらせ、精子の質を悪くします。ファーストフード、外食が増えるのも、亜鉛などのミネラル不足を招きます。

睡眠はとっても大切です。精子のもとになる栄養豊富な体液や血などは、寝ている間に作られると中医学では考えます。最低6時間ねることも大切ですが、睡眠の時間帯も大切です。できるだけ早くねるように心がけましょう。

ストレスは多い男性では、男性ホルモンのテストステロンの低下がみられるそうです。ストレスが続くと、精子の発育や性欲に関わるホルモンの分泌が低下してしまいます。適度にストレス発散をしましょう。

適度な運動で血流を良くしましょう。出来れば1日1回汗をかくような運動をするとよいですが、なかなか難しいので、一週間に1回は運動をして血流を上げましょう。その他、毎日できることは一駅歩く、階段を使うなど。仕事中も座りっぱなしは避けて、1時間に一回ぐらいはストレッチを。

子宝、漢方、男性不妊

男性も積極的に

少し前までは、「不妊の原因は女性にある」という考えがあたりまえのようにまかり通っていた時代でした。しかし、現在では、不妊で悩むカップルの約半数は男性にも原因があるということがわかっています。しかし、子供が欲しいから積極的に不妊治療をうけるという男性は、とても少ないように感じます。芸能界や有名人を見ても、不妊治療を公言する女性は多いですが、男性を見ることは少ないです。前出のダイヤモンドユカイさんの告白はまさに画期的だったと言えるでしょう。

自然の摂理を考えると、強い男性力があってこそ妊娠させることが出来、子孫を繁栄させることが出来ます。しかし現代社会においては、ストレスや運動不足、偏食、メタボ、寝不足などなど様々な要因により、草食系男子しかり、男性力の低下が顕著に表れてきています。男性も、妊娠を希望する場合、男性としてできること、やれること、しなくてはいけないことなどを、しっかり責任をもって行動していきたいですね。そしてパートナーとの良い環境づくりや、なんでも相談できる関係も、妊娠を意識せず楽しめる夫婦生活も大切です。不妊治療にはお互いへの理解と協力が不可欠です。それを男性側も、そして女性側も理解していきたいですね。

精子が少ない、元気がない、奇形がおおいといった場合、西洋医学には画期的な治療法はないというのが現状です。しかし中医学には、子をなすための様々な知恵の蓄積があります。中医学が発展してきた歴史には、「皇帝の子孫を残す」という命題が与えられていた側面もあり、実はとても不妊やアンチエイジングに強いのです。

男性不妊に使える漢方薬もたくさんあります。もし気になる症状がある場合は、是非奥様と一緒にご相談にいらしてください。