春は「苦味」を摂って快適に

3月も後半に入り、スーパーには春の訪れを告げる、菜の花などの山菜も出だしましたね。春の山菜には苦いものが多いですが、春はこの「苦味」を摂ることがとても大切なんです。

春は苦味、夏は酸味、秋は辛味、冬は脂(あぶら)と合点して食え

これは、明治の陸軍漢方医であり、薬剤師でもあった食養学の始、石塚 左玄が書いた「食物養生法」にある一節です。

「苦味」には、五臓の「心」(心臓・血管系)を強化し、身体に溜まった余分な熱を冷まし、体内の余分な水分や老廃物を取り除き、神経を鎮静させる作用があるとされています。春を快適に過ごすには、この時期に徐々に長くなる日のおかげで、ともすると活発になりすぎる「陽気」を鎮め、冬の間に溜めこんだものを排泄する事がとても大切です。そのために、「苦味」をとることが重要なんです。

余分なものを体外に出すということに加えて、陽気の高まりが「血が上った」ように感じられ、イライラや高血圧、不眠などの症状になることが有ります。春は気温の変化も激しく、自律神経はその調整に追われて疲弊します。その安定のためにも、自然の苦味をうまく利用することは大切なんです。

苦味は、自然が提供してくれます。なんとも大きな自然の摂理の偉大さを感じ、人間は自然の一部であることを再確認させられますね。

冬眠から目覚めた熊は、まず初めにふきのとうなどの山菜を食べると言います。それはきっと春の山菜が持つ苦味を利用し、冬場に溜まった宿便や「毒」を排泄しようとしているのだとおもわれます。私たち人間も春になると、ふきのとうや、タラの芽、うど、ワラビ、つくし、タケノコなど、苦味を持った山菜を昔から食べてきました。私たちは、何千年という時間の中で、経験的に春の山菜の効能を知り、食文化に取り入れてきたのです。

春、食養生、イライラ、漢方、デトックス

食は本なり、体は末なり、心はまたその末なり

これも石原 左玄の言葉です。「心や体の病気の元は日々の食事にある。心を清らかに保つには、血を清らかにすること。血を清らかにするには、清らかな物を食べることが大切である。」という意味だそうです。

自然はそれぞれの季節に必要な食材を提供してくれます。そして私たちもそのことを、長い経験を経て、親から子へ、子から孫へ伝えてきました。旬のものは摂らないよりとったほうが良いどころか、健康に暮らすためには、むしろ進んで摂るべき食材です。

この時期、特にのぼせやほてりがある方、イライラが止まらない方は、辛いものを避けて苦い物を摂りましょう。 にがうりやオクラ、レタスに加えて、タラの芽、つくし、筍、菜の花など春の山菜類を摂りましょう。そして、自然も陽気が高まり暖かくなる季節ですので、その逆になる冷たいものは控えるようにしましょう。冷たい物とは、胃腸を冷やす冷たい飲食物です。アイスやかき氷だけじゃなく、氷入りの飲み物や、冷蔵庫に入っている飲み物や果物、サラダ、ヨーグルトなどです。 それらは胃腸を冷やし、機能を低下させ、疲れ、怠さ、軟便、下痢、吐き気、血流障害、免疫低下など様々なトラブルの要因になります。

自然の力を少し借りて、季節の変化を楽しみにながら快適に過ごしましょう。