薬膳Part3 未病は食事で予防する

皆さんこんにちは。ミドリ薬品 イオン店店長櫻井です。

今日は薬膳Part3と題して、「食養」のお話をさせていただきます。まず“食養“という言葉に馴染みの無い方も多いと思います。中医学で食養とは、鍼灸そして漢方薬(中国では「漢方薬」とは言わず、製剤化されたものを「中成薬」、煎じ薬を「煎薬」と言います)に並ぶ、中医学代表的な治療方法の一つです。

みなさんも「医食同源」ということばを聞いたことがあると思いますが、医食同源という言葉は中医学の「薬食同源」という言葉をもとに、日本でつくられた造語なんです。元々は「薬食同源」、すなわち、薬と食事は同じ源からという言葉です。

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病気を食事で治す

中医学では、漢方薬と鍼灸と並び、三大治療体系に上げられている「c」のルーツは、紀元前400年ごろにその起源を見ることが出来ます。

古代中国では、疾病を診る現代の内科医や、外傷や骨折などの手当をする外科医、そして獣を診る獣医、そしてそれらの医師の中でも一番最高位に置かれていたのが、「食医」という、食事から病気を予防する食養生の医師でした。これはかかった病気を治すものよりも、予防医学が何よりも重要視されていたということです。まだなっていない病気を予測し予防する、それをできる医者こそが最高位だと考えられていました。

現代とはずいぶん違う考え方ですね。

漢の時代に書かれた中医学の聖典、『黄帝内経』の『素問』にはもうすでに、自然と季節と人間を、飲食をもって調和させる大切さがのべられています。そこには、「飲食の五味(辛・甘・苦・酸・鹹)の調和に注意すれば、骨格は歪まず、筋脈は柔軟で調和し、気血は流れ、通り、腠理は緻密でしっかりします。そうなれば、骨気は剛強になります。人は必ず養生法則を謹んで厳しく守らなければなりません。そうすれば天与の寿命を享受することができるでしょう。」と書かれています。

豊かな種類の食物を栄養バランスよく摂取することで、身体が丈夫になり、筋骨は逞しく、健康と長寿を全うできると言っており、近代の栄養学が確立されるはるか昔から、食事はバランスが大事だということを説いているわけです。

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薬食同源

中医学では、薬と食は同じ源を持つものとして考えられています。その二つに大きな差はなく、この草は腹下しに良いとか、この実をすりつぶして傷口に塗っておくと化膿しないとか、薬としての分類のほか、こっちの実は甘くてうまいなど、食べやすいものを食物とし、身体に変化をもたらすものを薬物としてきました。

例えば鰻は、気血を滋養し、腰・足の重い痛み、痺れをとり去るとされています。骨は燃やすとシロアリなどを駆除するとされています。『本草綱目』には、妊娠した人は食べてはいけない。銀杏と一緒に食べてはいけないとも書かれています。

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食べ物は全体として調和している

食に関しても中医学は全体のバランスを重視します。そして一つの食品に捨てるところと食べられるところがあるという近代の考えとは相対的に、すべての部分を食べることが大切で、それらには異なる力があり、それぞれが健康に役立つ、「一物全体」という考えがあります。

例えばトウモロコシの実には、体力をつけ心を落ち着かせ、食欲不振や消化不良を改善する力があり、髭には利尿作用があり、軸には、余分な水分を除いて、胃腸を丈夫にし、肉腫を抑制してくれ、根は膀胱炎や泌尿器系の結石に良いとされています。このようにすべての食材にその利用価値があり、捨てるところがないと考えられていました。

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人体は小さな宇宙

中医学では人の体も自然の一部です。自然に朝と夜、そして四季の変化があるように、私達の体もそれにならって変わっていくべきと考えています。そしてその移り行く変化への対応を食物が助けてくれます。

中医学ではよく、その季節のもの、土地に出来る(なる)ものを食べるようにと言いますが、それも、この考えが基礎にあるからです。寒い冬に体を冷やすスイカを食べるとお腹を下してしまうでしょうし、暑い地域では、体を温める食材を摂り過ぎると、のぼせやイライラ募るでしょう。また、暑い地域で取れる南国フルーツを寒い地域の人が常用するのも良いことではありません。

蓮根
蓮根も、花、筋、蓮の実、葉、花などあらゆる部位が薬用としても用いられています。蓮根の生を絞ったものは、熱をとり去り、渇きをとめ、酒の毒をなくします。

まとめ

私たちの体は私たちが毎日食べる「食事」からつくられています。髪の毛も、爪も、肌も、涙も、すべて食べるものを原料につくられているのです。食べているものが体質を作るので、間違ったものを食べていればその季節や、住んでいるところの気候風土に合わず、病気になったり、困った症状が出るようにもなるでしょう。

自らの体質を見極め、食事の性質を理解して、その季節、土地、そして天候に合わせた食事をすることが大切です。

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