紅茶にも緑茶にもカフェインが入っているのに、コーヒーだけ「ダメ」と言われる理由

食養生では、コーヒーはあまりオススメしない飲み物の一つに挙げられます。昨今ではコーヒーが健康に良いという研究結果が報告されたりと、コーヒーの良さが見直されていますが、依然中医学では、できればすくなくしたいものとして挙げられています。

コーヒーの気になる成分として有名なのは「カフェイン」ですが、カフェインを含む飲み物は他にもあります。

紅茶や緑茶にもカフェインが入っているのに、コーヒーはだめで、紅茶、緑茶はいいの?」というのは、なかなか鋭いご指摘ですが、これは一杯に含まれているカフェイン含有量と、コーヒー豆、紅茶・緑茶茶葉のもともとの性質の違いによります。

画像の説明

カフェインの量の違い

まず、コーヒーと紅茶に含まれるカフェインの量から見てみましょう。一般的にコーヒーより紅茶の方がカフェインが多いと思われていることがあるようですが、それは必ずしも正しくありません。

コーヒー豆100gと紅茶葉100gでは、確かに紅茶の方がカフェイン含有量は多くなります。ただ、一杯に使われるコーヒー豆の量は約10g、カフェインの量は大体100mg程度。それに対して一杯の紅茶に使われる茶葉は約2g~多くて5gで、カフェイン量は30mgと言われています。普通に紅茶を飲む状態では、茶葉を抹茶のように挽いて飲まない限りは、コーヒーの方がカフェイン含有率は高くなるといえます。

これは、多量の葉っぱを使わない緑茶と比べた場合でも同じ事がいえます。

画像の説明

中医学からみたそれらの性質の違い

次に、中医学的にこの三者の中医学的性質を見ると、手元の資料では、

【コーヒー】
性味 苦味/平性~温性。
帰経 心肺
効能 養心、安神、強心、利水、解酒毒
適応 眠気、二日酔
作用 覚醒

【紅茶】
性味 苦味、甘味/温性
帰経 心肺
効能 養心、安神、止渇利水
適応 口渇、煩熱

【緑茶】
性味 苦味、甘味/涼性
帰経 心肺胃肝
効能 生津止渇、清熱、解毒、利頭目、除煩、安神
効能 頭痛、視力低下、倦怠、眠気、煩熱、口渇
作用 爽快

(”現代の食卓に生かす「食物性味表]” 日本中医食養学会 編著より)

これらを見比べると、紅茶と緑茶には、「止渇(しかつ)」、「生津(しょうしん)」とありますが、コーヒーには「利水」だけです。

「止渇(しかつ)」とは激しい喉の渇きを解消させるという意味で、「生津(しょうしん)」は、潤い(津液)を生むという意味で、止渇と同じ効果があります。

「利水(りすい)」は水分や余剰物質を尿として排出することなので、紅茶と緑茶は潤いを造りだす効果がありますが、コーヒーは潤いを減らし続けるという違いがあります。体内の潤いが減ることは中医学ではとても重要視しており時に危険視しています。

*ちなみに養心や安神とは、「心を安らげる」という意味です。茶葉にはそういった作用があるようです。

画像の説明

潤いのもと、「津液」とは

体の潤いである「津液(しんえき)」とは体の正常な水分の事で、「津」とはサラサラした液体の総称で、主に身体の表面を潤すのに対し、「液」は粘り気があり、体内をゆっくり流れて骨や髄を潤しています。津液は単に水分というわけではなく、飲食物から作り出されるものなので、飲んだ水がそのまま津液になるわけではありません。

津と液は互いに協力して、臓腑、筋肉、毛髪、粘膜などを潤し、関節の動きを円滑にするなどの働きを持っています。中医学では、この津液を守ることを大変重要視します。これは津液の不足は組織液の不足を引き起すことで、細胞や組織が正常に働かなくなってしまうばかりか、血液もドロドロしてしまい、流れにくくなってしまうからです。

津液が減ると、乾燥症状(口やのどの皮膚の乾燥、便秘、いらいらなど)からひどい場合は脱水症状(意識喪失、痙攣)が見られます。津液が失われる原因は、激しい発汗や下痢、嘔吐、出血過多などの場合や、慢性病や生活習慣などによって発症する体内の乾燥の場合があります。

体から水分(汗であれ、血であれ)が漏れだすことは命にかかわることになりかねないので、津液を守ることは大変重要なことと位置づけられています。

そういった意味でも、利水や興奮作用のみのコーヒーよりも、潤すことができると同時に解毒できる緑茶や紅茶の方が身体には良いといえます。

画像の説明

「紅茶」より「緑茶」

最後に、同じ茶葉を使っている紅茶より緑茶をお勧めする理由ですが、これは中医食養生学の劉 桂平先生の言葉を借りるなら、''「慣れ親しんだ食材が一番体にあっている」''ということになります。

日本でお茶が飲まれていたとされる最初の記述は平安初期に書かれた『日本後期』にある「嵯峨天皇に大僧都(だいそうず)永忠が近江の梵釈寺において茶を煎じて奉った」という一説。日本人は緑茶を何百年も前から飲んでいますので、身体もそれに順応していますし、歴史がその安全性を証明してくれていますので、安心してオススメできます。また、興奮だけのコーヒーよりも、茶葉は気持ちを安定させてくれる作用を持っているので、これもまたよりオススメしたくなる理由の一つです。

画像の説明

まとめ

同量のコーヒーと茶葉を比べた場合にカフェインは茶葉で多くなるが、1杯のコーヒーや緑茶、紅茶となると、茶葉の使用量がコーヒー豆の量にくらべて少ないので、カフェインも少なくなる。中医学的に見た場合も、利水や興奮のコーヒーよりは、潤いを生み、心を安らげる作用のある紅茶や緑茶のほうがオススメです。

私もコーヒーも紅茶も好きなので、よく飲みます。要は摂り過ぎないことが一番大切です。1日1杯~2杯のコーヒーであれば、目くじらを立てて咎めるものではありませんが、1日5杯以上となればさすがに依存からくる精神的、身体的ダメージも気にしなくてはいけないでしょう。

毎日何気なく飲んでいるものですが、ちょっと気にかけてみてくださいね。