更年期の不快な症状を漢方の知識で軽減しましょう

「メノポーズケア」という言葉をご存知でしょうか。「メノポーズ」とは「更年期」のことで、「メノポーズケア」とは、更年期に起こる様々な症状を予防・緩和する対策のことです。

女性の身体はホルモンのバランスから、年齢を追うごとに、そして生理や妊娠・出産などを経験するごとに大きく変化しています。それらの変化の一つの大きなものに、「閉経」と「更年期」という時期があります。これは女性の一生の中でも特に大きな変化の一つです。

この変化にうまく体が順応せず、様々な症状がでる方もいらっしゃいます。そこで、今回のブログは、更年期の様々トラブルへの予防と対策をご紹介したいと思います。

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「更年期」ってなに?

更年期、更年期とよく言われていますが、「更年期」は病気を指す言葉ではなく、思春期と同じように、人生のある時期を指す言葉です。男女ともに40歳をすぎると腎機能の低下が始まり、ホルモンの分泌量が急激に低下してきます。そのころから10年ぐらいを更年期と言います。

更年期には、五臓の「腎」の力(ホルモンの分泌量)の低下の程度によって、様々な症状が現れます。 そして、そのホルモンのアンバランスが引き起こす様々な不快な症状を更年期障害と言います。頭痛・肩こり・手足のしびれ・気力がないなど、不定愁訴は多いのにもかかわらず、検査をしても異常がでないので、人には理解してもらえないつらい状態です。 また、それが高じて精神的なトラブルを抱えてしまうケース、さらに高脂血症、肥満、動脈硬化、高血圧、心臓病、糖尿病、骨粗しょう症などを引き起こす要因になるので見過ごせません。

しかし、更年期障害はある程度予防することが出来ます。中医学では、更年期障害の原因を血虚や腎虚としてとらえています。食生活に気を配り、漢方を上手に使うことによって、血液や腎を補い養っておけば、穏やかな更年期を迎えることが出来ます。

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更年期症状を軽減する食事

腎はホルモンと深い関係があり、腎はミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの金属元素)で養われています。そして、ミネラルは毎日老廃物とともに尿で排泄されてしまうので、できれば毎日摂取することが大切です。さらに、甘いもの、ジュース・お茶。ビールなどの水分の摂りすぎや、強いストレスによって、より多くのミネラルが尿に溶け出します。

ミネラルは海藻・貝・天然の塩・胡麻・豆類に多く含まれているので、実は味噌汁はとても腎を養うのに効果的なメニューです。

同時に、身体にとって大切な血液をたっぷりと増やし、サラサラに保つことで、腎に必要な栄養をしっかり供給できるようになります。質の良い血を増やすには、ホウレンソウや小松菜など緑の濃い野菜と、鉄分を多く含むレバーや赤みの肉、プルーンやナツメ、カツオ、そして黒豆や黒ゴマ、まいたけ、牡蠣などをしっかりとりましょう。

偏食の方は始めのうちはミネラルやたんぱく質を補う健康食品などをうまく活用すると良いですね。体調が整うと偏食も治ってきます。

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更年期障害の軽減には運動も大切

せっかくミネラルをとっても、運動をしないと下半身への血行が悪くなり、腎への栄養も行きにくくなります。運動をすることで血の巡りもよくなり、骨も丈夫になります。血液は必要とさてる所に多く流れますので、下半身の血流を意識して毎日30~60分は歩くようにしましょう。

漢方薬

40歳を過ぎると、疲れやすい・足腰がだるい・目が疲れる・排尿の異常など、腎機能の低下を知らせる信号が出てきます。どういった症状が出ているかで、腎のほかにどの臓腑が弱っているかをチェックすることが出来るので、気になった方はぜひご相談ください。適切な身体に合った腎を補う漢方、「補腎薬(ほじんやく)」をご紹介します。

また、栄養や薬を体の隅々まで届けるのは血です。血が足りなかったり、ドロドロしていてはちゃんと必要な栄養が届きません。疲れやすい、冷え、立ちくらみ、髪や肌の乾燥、爪が弱い、便意があるが出にくい、顔色が青白いなどがみられる方は、まず血を増やし、元気にする漢方をお勧めします。ドロドロ血の方はサラサラと流れやすくる漢方を併用すると効果的です。

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天王補心丹(てんのうほしんたん)ドキドキや不眠、のぼせを改善する補腎薬の一つ

どの臓腑がよわっている?

更年期に起こるまたは、起こりうる様々な不定愁訴への対策に、身体のどの臓腑が弱っているかを症状から探っていきましょう。

カーッと熱くなる肝腎陰虚タイプ

症状:

のぼせ・顔面紅潮、発汗・ほてり、めまい・耳鳴り、頭痛、足腰だるい、手足のしびれ、皮膚のかゆみ、血圧の上昇、月経周期が短くなるなど

解説:

自律神経系や血流などを司る「肝」とホルモンや水分代謝などを司る「腎」の機能が低下し、潤いや血が不足している「肝腎陰虚」タイプ。体を温めたり、活動的になったりする機能を抑制する力が低下した状態。活動的なエネルギーを「陽気」、抑制するものを「陰」といいます。「陰」には、「血」や「津液」(しんえき)と呼ばれる汗や体液などの潤いがあり、それが不足している状態です。喉が乾いたり、寝汗をかいたり、目の乾燥を感じたり、オリモノが少なかったり、基礎体温が高かったりなどの症状も見られることもあります。こういった場合は、足りなくなった「津液」や「血」を補給しつつ、「肝」と「腎」の機能を助ける漢方を使用します。

食養生:

酸味と甘味の食材を一緒にとり、平性、涼性の食材を気温に時に寒性も取り入れ、身体を潤わせる食材を積極的に食べることが大切です。冷たい飲み物や食べ物、辛すぎるもの、熱すぎるもの、大量の飲酒とたばこは避けてください。
豚肉、カモ肉、ナマコ、牡蠣、あわび、豆乳、すっぽん、松の実、白ごま、黒ゴマ、白きくらげ、とまと、レンコンなど

イライラタイプは肝気鬱結タイプ

症状:

イライラ・怒りっぽい、頭痛・めまい、乳房の張痛、お腹の張り、食欲不振、便秘や下痢、目が疲れる、痛むところが不定で定まらない、喉の違物感など

解説:

「肝」の機能が低下し、「気」や「血」の巡りが悪くなっているのが、「肝気鬱血」タイプです。「肝」の機能低下から、「肝」の「気を巡らせる」力が低下した状態です。「気」が巡らず詰まってしまっているので、「張る」症状がみられるようになります。身体のエネルギーである「気」の流れが悪くなると、イライラしたり怒りっぽくなったり、乳房やお腹に張りがみられます。「肝」は「血」の流れをコントロールする機能もあるので、低下すると、「血」の流れがわるくなり栄養が行かず、目に疲れが生じたり、爪がよわくなったり、冷えが出たり、足がつったり、筋肉が痙攣をおこしやすくなったりします。漢方では「肝」を養い、「気」を巡らせるものを使います。

食養生:

気をめぐらせる香味野菜を積極的に摂りましょう。香りの食材は加熱を少な目にすると香りが飛びません。肝の機能を促進するには酸っぱいものがおすすめです。体の熱をとる涼性、寒熱の偏りがない平性の食べ物を基本にしてください。
かんきつ類、レバー、シジミ、クコの実、ブルーベリー、ジャスミン、ミント、カモミール、ローズ、セリ、金針菜、三つ葉など

ドキドキする心腎不交タイプ

症状: 

動悸・胸苦しい、不眠・寝つきがわるい、夢が多い、口が渇く、足腰がだるい、耳鳴り・物忘れ、のぼせ・血圧の上昇、汗が多いなど

解説:

加齢や病気などから「腎」の潤いが減り、「心」の陽気を抑えきれなくなった興奮状態と、熱過剰状態。ストレスなどの心身の疲労から、「熱」が発生し、「腎」の潤いを消耗する場合も起こります。体内に存在する「陽」気とは、活動的な運動を行うためのエネルギーのこと。しかし、活動的なエネルギーばかりだと興奮状態になってしまうため、体にはその活動を抑制するための機能が備わっています。その大本が「腎」に存在します。「腎」のエネルギーは加齢や、病気などで低下してしまうので、「腎」の機能低下が、陽気の過活動を招いてしまうのです。そのほか、ストレスなどでも陽気の活動は助長され、その結果、「腎」を傷つけてしまうことになります。漢方では「腎」の抑制する力を補い、「心」の陽気の過剰な活動を抑制するものを使います。

食養生:

心腎不交タイプの食養生は難しく、補足的なものになります。肝腎陰虚タイプを参照し、熱を溜めない、腎を補う食材をとるようにしましょう。

冷える脾腎陽虚タイプ

症状: 

足腰が冷える、顔色が青っぽい、下痢しやすい、食欲不振、身体がだるい、めまい、オリモノが水っぽい、むくみやすい、月経周期がまちまち、尿量が多い・色が薄いなど

解説: 

体を温める働きをしているのは生態ストーブと言われる「腎」の「陽気」の役割です。これが低下すると体は冷えてしまいます。さらに消化器系である「脾」は「腎」の「陽」気を使って消化や栄養吸収などの仕事をしているので、「腎」の「陽気」の低下はそこでも問題が生じます。いわば、火のない鍋で料理をするようなものです。その状態だと未消化のものが下痢になったり、食欲が低下したり、食べたものからエネルギーや血が作り出せず、元気がなくなり、さらに冷えやすくなります。漢方は「腎」の「陽気」を強め身体を温めるもの、胃腸機能を回復させるもの、「気」・「血」を補い体を元気にするものを使います。

食養生: 

体全体を温め、胃腸の消化吸収能力を高め、胃腸に負担をかけない食事を基本にし、食材は火を通して食べるようにしましょう。
エビ、うなぎ、山芋、栗、豆類、ネギ、かぼちゃ、玉ねぎ、ラッキョウ、しょうが、くるみ、ブロッコリー、アスパラガス、茸類、リンゴなど

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閉経後のトラブルにも注意!

1. 高脂血症

女性ホルモンが低下すると、利用されないコレステロールが体内で余るようになります。余ったコレステロールは血液の粘度をあげ、ドロドロとした流れにくいものにさ、血のめぐりが悪くなる原因に。血がドロドロとなり、流れが悪くなった状態を中医学では「瘀血」(おけつ)といいます。瘀血は高血圧や心臓病、肥満、頭痛、肩こり、めまい、しみやそばかす、冷え、脳卒中、狭心症、癌などの原因となるほか、体の各部への栄養供給と老廃物の回収を邪魔してし、機能を低下させます。

2. 肥満

女性ホルモンの分泌低下によるコレステロールの増加、基礎エネルギー代謝の低下、ストレスによる過食等が肥満の原因になることもあります。肥満は外見だけの問題ではなく、糖尿病、心臓病、動脈硬化、高血圧、膝や股関節の関節炎などを引き起こす要因となるので、注意が必要です。
運動をすると食欲がまして、かえって太るという方もいますが、これは逆です。運動することにより食欲は抑えられます。家でゴロゴロしているときの方が食べる量は増えるものです。

3. 骨粗しょう症

ホルモンに深い関係のある腎の機能が低下してくると、女性ホルモンの合成や分泌が激減してきます。同時に、せっかく摂ったカルシウムやマグネシウム、亜鉛などのミネラルを骨に蓄積する力も弱ってきます。まして、テレビを見ながら甘いものばかり食べていると、足腰も脳もだんだん衰えます。歩くことで足腰は丈夫になり、骨粗しょう症を予防するに大変有効です。また、血液循環もよくなり、脳にも良い刺激になります。

4. 皮膚・粘膜の乾燥

体の水道局である腎機能が低下すると、皮膚や粘膜の潤いも失われます。ひいては尿道の委縮から頻尿や膀胱炎になりやすくなります。また、膣の潤いも減り、性交痛につながります。皮膚や粘膜を瑞々しく保つには、全身に瑞々しい血液が流れていることが大切です。

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早い時期からのメノポーズケアで健やかに

更年期の不快な症状を減らし、健やかな美しい老後を楽しむためには、若い時から生理に関心を持って、規則正しい生理が来るように気を付けることが大切です。そのためには、冷やさない、食事に気を配る(野菜の多い和食、腹八分目)、適度な運動でストレス発散が、月並みですが、とても大切です。漢方では、身体にあった補腎薬をうまく使い、血液サラサラを意識して、胃腸を元気に保つものを適度に使いましょう。

**更年期のトラブルはここに書いてあることがすべてではありません。漢方薬をご検討の際はご相談ください**

ミドリ薬品イオン店 0157-31-5550

参照:中医薬研究会 「快適更年期!」