美しい髪を作るのに必要な漢方のお話し

髪の毛の事実

髪の毛は健康な成人で約10万本あると言われています。髪の毛の寿命は、一般的に3年から7年ぐらいで、正常な状態でも日に50本から100本ほどが抜けています。髪の毛は、毛穴の中にある「毛包」と呼ばれる場所でつくられていて、1日に約0.35mm、1か月で約1cm伸びます。

髪のクセは毛穴の形で決まるそうで、毛穴が平たいアフリカ系の方はもじゃもじゃのアフロになり、楕円形のヨーロッパの方々は緩やかなウェーブを描くように伸びていきます。我々アジア人は比較的丸い毛穴をしているので直毛が多いそうです。

髪の毛はとっても丈夫で、たった一本でも100gの重さに耐えられ、頭髪全体なら12tもの重さにも耐えられるそうです。これはアルミニウムの強さに匹敵するそうです(wikipedia参照)。

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中医学で考える「髪」

中医学の古典『本草備要』には「髪者血之余」という記述があり、中医学で髪は、「血余(けつよ)」といって、髪は血の余りと考えられています。

中医学の言う「血(けつ)」とは、単に血液だけなく、それが運ぶ栄養やホルモンなども含まれており、栄養の循環と老廃物の回収・除去が「血」の役割です。質の良い「血」が潤沢に滞りなく循環していることで、美しい髪がつくられると考えています。

それと同時に「髪は腎の華」という言葉もあります。「腎」とは「精(生命力・生殖力の源)」の貯蔵庫で、「華」とは、「状態を表す」という言葉なので、髪の状態は腎の状態を表すインジケーターということです。ちなみに、黒々と艶のある髪が良い状態とされており、艶がない、白髪、細い、乾燥などは状態は、腎が弱っている可能性を示しています。

腎に蓄えられている全てのエネルギーの源である「精」は、父母からもらった精(先天の精)に加えて、飲食と呼吸から生まれたものがあります(後天の精)。精は生まれた時から徐々に増えて充実していき、20代後半から30代にかけてピークを迎え、35歳を過ぎたあたりから減り始め、徐々に衰えを感じるようになると考えられています。このまさに精力が衰えた状態を「腎虚(じんきょ)」と言います。

腎虚とは老化とほぼ同義です。腎虚は誰にも等しく訪れるものですが、腎の精の充実度により、そのスピードには個人差があります。いつまでも若々しく有るためには、腎の精をしっかりと補い、腎を強く保つことが大切で、美し髪を保つにも、腎に精が充実していることが大切です。

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腎が強い赤ちゃんは髪が黒々しています。

美しい髪を保つには

中医学的な考えでは、良い食材からつくられた質の良い血が十分にあり、滞りなく体内をめぐっていることと、腎の精が十分にあることが美しい髪をつくる条件です。質の良い髪を保つには、まずは良い血を作ることと、腎を養うことを心がけることが大切です。

血を補う食材には、レバー、牡蠣、ナマコ、カツオ、ホウレン草、小松菜、黒砂糖、黒豆、棗、桃、小豆、ブドウ、レーズン、プルーン、ブルーベリー、トマト、豚肉などがあります。腎を補う食材には、山芋、大和芋、里芋、黒豆、黒米、黒きくらげ、黒胡麻、焼き海苔、くるみ、松の実、クコの実などがあるので、是非毎日の食事に取り入れてください。

そして、腎を強く保ち、血流を良くするためには、冷やさないことと歩くことも忘れてはいけません。エアコンはできるだけ控え、また電車内では立つようにして、階段も使うようにしましょう。仕事中座りっぱなしの人は、30分に1回は屈伸をして、1日30分ぐらいは歩くか立っているようにしましょう。

腎の精はまた、夜更かし、過労、ストレス、過度なセックスなどにより消費されてしまいます。これらを避けることも美しい髪を保つためにはとても重要です。

勿論、良い髪を作るには、基になる血や精が作られる胃腸が健康な状態でなくてはいけません。このことから、髪の毛は胃腸で作られているといっても過言ではありません。胃痛や胸やけ、下痢や軟便などがあれば、まずそこからケアすることが美しい髪をつくることに繋がります。

胃腸を良い状態にするには、冷たいものをとらないこと、味の濃いもの、脂っこいもの、チョコレートなどの甘いもの、唐辛子などの刺激の強いものを沢山摂らないようにして、消化しやすい火を通した葉野菜や海藻をたっぷり食べることです

現代人はほとんどの人が栄養過多、食べ過ぎの傾向があるので、調子が悪いと感じたら、食事を一度減らしたり抜いたりしてみて、胃腸を休憩させてください。それでも調子が悪く、食欲が戻らなければ、しばらく温かいスープやお粥など胃腸負担の軽いものを選ぶようにしましょう。そしてこの栄養から良い髪が作られるように、しっかり睡眠することもお忘れなく。

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牡蠣は血を補い、不安や不眠にもおすすめ。

女性は特に「血」の不足に注意

中医学的な考えでは、身体に十分な血がないと美しい髪は作られません。女性は月経で月に一度「血」を失うので血の補給は欠かせません。また、大量に血を消費する妊娠・出産・授乳で、白髪が多くなった、抜け毛が多くなった、艶が無くなった、髪が細くなった・少なくなったという話を耳にしたことが有る方も多いでしょう。さらに妊娠出産では精も同じく大量に消費されます。美しい髪を保ち、若々しくあるためには、血や精を補充しておくことがとっても大切です。大量に消費された場合は、不調に合わせた漢方薬を使うことで、血を補ったり、胃腸状態を改善したり、精を補ったりして、髪の健康を保つこともできます。

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血を大量に消耗する産前産後や授乳中はしっかりと血を補うことが大切です。

いつまでも美しく

美しい髪の毛を保つには、食べるものを見直すこと、早く寝ること、適度に運動することが大切です。血流が悪い、血の質がわるい状態では、良い髪はつくられません。血が足りず、乾燥気味で、腎のエネルギーも足りなければ、髪は弱く、生えてもスグ抜けてしまいまし、そのうち生えなくなります。

髪は1日に0.3mmしか伸びません。髪は食べたものから作られます。良い食べ物が良い髪に繋がります。美しい髪を保つには、1に食事、2に睡眠、そして3に運動です。健康であることが美しくある事なんです。