秋も快適に過ごすための養生法。

2016年8月7日の今日、二十四節気では立秋。暦の上では暑さが頂点になる日と言われ、今日からは"残暑"となります。

今日から立冬までが「秋」となりますが、中医学の古典「素問」の
『四気調神大論』には、この季節の養生法を次のように書いています。

"秋三月、此謂容平。天気以急、地気以明。早臥早起、与雞倶興。使志安寧、以緩秋刑。収斂神気、使秋気平、無外其志、使肺気清。此秋気之応、養收之道也。逆之則傷肺、冬為飧泄、奉蔵者少。”

はい。難解ですね。では小曽戸丈夫先生が訳された新訳を載せます。

「秋の三か月を、容平(ようへい)という。それはものの形が定まる季節である。
この期間は、天地の気が引き締まって澄んでくるように、すべてのものが収斂してくる。この時にあっては、早く寝て早く起きることが、ちょうど鶏の寝起きのようであるべきだ。志を安らかにして、あれもしなければならなかった、これもしなければならなかったと、心の中に欲望を押し込めるようなことはせず、遂げ得なかった志を悔やむことなく、心をゆったりとさせる。精神を落ち着かせて秋の天地の粛殺の気が身体を損なうことのないようにし、志を遂げようとしてやたらと動き回り、冷えを受けて肺の臓を冷やすことが無いようにしなければならない。そのようにできれば、それが秋における収斂を特徴とする天地の気に相応じる所以であって、これこそ、秋時の養生法というものだ。

もしこの養生法に従わず、むやみに精神を動揺させたり、あるいは秋の冷えに当たりながら過労したりすると、秋に盛んに活動している肺の臓が傷害されて病となる。たとえすぐに発病しなくても、冬が来ると、これが因となって下痢を起こす病となる。それは、飽きに受けた傷害が元になって、冬の蟄蔵(ちゅうぞう)の気力が減少する結果、病が表面にでてくることになるのだ。」(素問 新訳 小曽戸丈夫)

はい。これでもやや難解です。
ではものすごく乱暴にまとめてみたいと思います。

「秋の三ヶ月は実りと収穫の季節である。ときに冷たい風も吹き、葉も枯れ落ちる。この季節の特徴に従って早寝早起きし、過労せず、気持ちを穏やかに保ち、冷たい空気にあまりさらされない様にするのがよい。これが秋の良い養生方法である。もしこれに逆らっていると、冬になると下痢を起こす。」
となります。

秋は、夏の暑さで強まっていた陽気(陽)が影をひそめ、代わりに寒気や冷気(陰)が徐々に強まる陰陽転化の時期で、草木は枯れ生と死が交差する季節です。この変化に身体も順応しなくてはいけず、うまく対応できないと不安や怒りなどの精神的な症状も現れやすくなります

この時期の養生としては、冷えるもの、冷たい風に気を付けること。そして、早寝早起きを心がけ、心は穏やかに過ごすことが大切です。朝のきれいな空気を肺一杯に取り込んで清気を養うことなども良いでしょう。
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貝原益軒の養生訓の中では、“秋はまだ夏の間開いていた肌(汗腺)がまだ閉じておらず、冷たい秋の風に痛められやすい”と述べられています。やっと涼しくなって、心地よく感じられる秋の涼しい風ですが、暑い夏よりも影響を受けやすいので注意が必要といわれています。

また秋は空気が乾燥しますので、乾燥に弱い肺を含む呼吸器系(肺、鼻、喉、皮膚)と中医学で肺とつなりのある大腸の疾患に注意が必要です。

冒頭にあげた中医学の古典、『素問』でも秋になってもまだ冷たいものを摂りすぎたり、乾燥をいとわず肺を傷つけたりすると、冬には下痢しやすくなり、体力を消耗して、カゼなどの病気にかかりやすくなると言われています。

同じく、中国の食の古典、『食経』では、秋の気は、燥なれば、よろしく胡麻を食ふべし。冷たい飲食や、寒すぎる衣服は禁ず。肺の病には、苦きものを食ふを禁ず。小麦、羊肉、杏、ラッキョウの類を食ふべし。気の病には、多く辛きものを食ふことなかれ。″とあります。ここでも秋の乾燥に気を付けること、急な寒さに気を付けること、そして肺を養うことを注意していますね。

苦いものというのは、熱をとる力があるとされていますので、これからの時期に食べ過ぎには注意が必要です。苦瓜などは夏の間に食べるようにしましょう。

辛いものは、発散の力がありますが、体力が消耗しているときにたべると発散しすぎてしまい、さらに体力が消耗されます。カゼのひきはじめなどで悪寒がするようなときに発汗を促し、回復を早めたり、夏場冷たいものの摂りすぎで、体内に余分な水分などが溜まってしまったときには、汗を出させ水分を発散・調整してくれますが、これからの季節、潤いやエネルギーを発散させてしまう辛い物の摂り過ぎには注意が必要です。
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この時期の食養生としては、冬の寒さに備えて、イモ類、栗、米、かぼちゃなどで胃腸を正常に保ち、元気を養うこと。また、大根、ネギ、辛子など、少量の辛味を摂ることで、肺を強く保てます。潤いを補うには、秋には果物が良いでしょう。ブドウ、梨、ブルーベリー、桃などを少しずつとりましょう。秋にメロンやスイカを冷たいまま食べるのは身体を冷やしてしまうので避けるようにしてください。

生活の中で行える養生法では、腹式呼吸法による邪気の排泄がおすすめ。あくびやため息なども邪気を追い出すことに繋がりますので、積極的に行ってみてください。無意識にため息が出るときは、疲労が蓄積していたり、ストレスが溜まってしまっているサインですので、そんなときは、軽い運動を休息を心がけてくださいね。