自分の体質を知って健康対策を効果的に「中医体質学」のお話し

【中医学】聞いただけでも難しそうですよね。でも何千年も前から健康維持に向き合ってきたこの学問を毎日の健康増進と、病気の予防に活用しないのはあまりにももったいないです。なので、今回は分かり易く、実践しやすい「中医体質学」をお伝えします。
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中医体質学とは

個々の体質を分かり易い9つにカテゴリー分けして、養生しやすく、そして治療方針を立てやすくしたものです。中医体質学がすぐれているのは、小難しい理論を知らなくても、誰にでも理解できて実践できることです。

中医体質学での「体質」とは、先天的に享けたものと、後天的に得たものを基礎として形成された、形態構造、生理機能、心理状態における、総合かつ比較的安定した固有の特質を指します。

中医体質学では、それぞれの体質によって掛かりやすい病気の傾向やその病変の過程において特長があるとしています。また、体質を事前に分類し認知することで対策が立てやすくなり、予防や治療も効果的に行えます。
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中医学的 9つの体質

中医体質学は人の体質を、平和質、気虚質、陽虚質、陰虚質、痰湿質、湿熱質、血瘀質、気鬱質、特稟質の9種類の基本タイプに分けています。
それでは一つ一つ見ていきましょう。

①平和質(元気、精力旺盛、楽観的)

屈強で健康的な体質。体格も適当であり、顔色は赤みが差して艶も良く、体全体に精力が満ち溢れている状態。

体系

均整がとれてがっちりしている。

条件所見

顔・肌ともに艶があり、頭髪にも艶があり、量も多い。目に力があり、鼻の色は明るく嗅覚が鋭い。口唇は血色がよく艶がある。疲労しにくい、精力に満ち溢れ、寒さ、暑さに強い。睡眠、食欲、尿、便の状態も良好。舌は淡紅、苔薄白、脈は和して有力。

心理面

性格は明るく、人付き合いが良い。

発病傾向

平素から病気に掛かりにくい。

環境適応力

自然環境、社会環境に対する適応能力が高い。

②気虚質(疲れ、カゼひきやすい、声小さい、息切れ、汗かきやすい)

元気不足により、呼吸が低く弱く、生体・臓腑機能の低下などが現れている状態。

体系

筋肉が緩んだ状態。

条件所見

話す声が低く、なにかに怯えた感じ。呼吸が短く話すことが億劫。疲れやすく元気がない。汗をかきやすい。舌痰紅、舌体胖大、歯痕、脈虚緩。

心理面

内向的・情緒不安定で、臆病。冒険を好まない。

発病傾向

平素から虚弱で、衛表不固からカゼを引きやすい。病後の抵抗力が弱く、疾患が罹患しやすく、完治しにくい。内臓下垂や虚労などの疾患に罹り易い。

環境適応力

寒邪、風邪、暑邪に対する抵抗力が弱い。

③陽虚質 (冷え性、寒がり)

陽気不足により、主に冷えの症状が現れる。

体系

色白で太り気味。筋肉が緩んだ状態。

条件所見

平素から寒がりで、手足が温まらない。暖かいものを好んで飲む。元気がない。下痢や軟便が多い。睡眠時間がやや長い。舌淡、舌体胖、歯痕、苔潤、脈沈遅または弱。

心理面

正確は静かで落ち着ており、内向的。

発病傾向

寒証が現れ、寒化することが多い。痰飲、腫脹、下痢、インポテンツなどの病証が現れやすい。

環境適応力

寒邪に対する抵抗力が弱い。夏は強いが冬が弱い。湿邪を受けやすい。

④陰虚湿 (手足のほてり、皮膚・口腔乾燥)

体内の津液(体液)、精血(血)など、陰液(体内の水分)の不足により、主に陰虚内熱の症状が現れる体質。

体系

やせ形で背が高いことが多い。

条件所見

手足の中心が熱い。平素から口や咽が渇きやすい。鼻がやや乾燥している。口渇があり、冷たいものを飲みたがる。便が硬い。舌紅少津、舌苔少。

心理面

正確はせっかちで外向的。活発で動くことを好む。

発病傾向

体内の乾燥による熱の病変を起こしやすい。

環境適応力

平素から熱邪に弱い。冬は強いが夏は弱い。また燥邪を受けやすい。

⑤痰湿質 (肥満気味、たるみ、お腹が出ている、あくびが多い)

余分な水分の停滞から、主に、粘・滞・重・濁の性質を持つ症状が現れる体質。

体系

肥満体系で腹部に脂肪が多く軟らかい。

条件所見

顔面の皮膚が脂っぽい、汗をかきやすい、かく汗は粘り気が強い、胸苦しかったり、何が痞えているような感じがする。痰が多い。

心理面

正確は優しく穏やかで控えめ。包容力、忍耐力がある。

発病傾向

消渇、中風、胸痺(胸・背痛があり、胸がつまり咳や痰が多い)などの病証に罹り易い。

環境適応力

梅雨時期や湿気の多い環境に対する適応力に欠ける。

⑥湿熱質(顔面に脂とにきび。口が苦い、大便粘る、小便黄色い)

余分な水分と熱がこもった状態を主な特徴とする体質

体系

太り気味、または顔色が青白く痩せ気味

条件所見

平素から顔面が脂っぽく、吹き出物などができやすい。舌はやや赤く、苔は黄色く厚い。口中が苦くなり、乾きやすい。体が重く感じ、疲れて眠くなり易い。

心理面

せっかちで怒りやすい。

発病傾向

皮膚のできもの、黄疸、火熱などの病証に罹り易い。

環境適応力

湿気が多く気温が高い気候に適応しにくい。

⑦血瘀質(顔色がどす黒い、シミ)

体内の血液循環が不良であるという潜在的傾向。もしくは瘀血内阻という病理基礎があり、それに伴う外在的な症状が有ら有れる。

体系

やせ形の人が多い。

条件所見

平素から顔色が黒っぽい、体全体の皮膚も黒っぽい、または色素沈着がある。あざができやすく、疼痛が現れやすい。唇の色が暗い、または紫っぽい。舌質暗、瘀点・瘀斑、舌下静脈怒張、脈細渋または結代。

心理面

イライラしやすく、せっかちで物忘れが激しい。

発病傾向

出血や腹部に出来る腫瘤、中風、胸痺などの病証に罹り易い

環境適応力

風邪・寒邪に対して抵抗力が弱い。

⑧気鬱質(悲観的、神経質、落ち込みやすい)

長期にわたり気分が晴れない状態や気機鬱滞が続き、内向的、精神的に不安定、すぐクヨクヨと考え込む、精神的打撃に弱い、神経過敏で疑い深い正確が形成され、それに伴う症状が現れる体質。

体系

やせ形の人が多い。

条件所見

平素より思い悩んでいるような顔つきをしており、イライラしがちで心から楽しいと感じることが少ない。

心理面

正確は内向的で不安定、すぐクヨクヨと考え込む。精神的打撃に弱い。神経過敏で疑い深い。

発病傾向

抑うつ症、情緒不安定、不眠、梅核気(のどがふさがるような感じ)、小さなことにすぐに驚くなどの病証に罹り易い。

環境適応力

精神的刺激に対する抵抗能力が低い。雲や雨の天気を嫌がる。

⑨特稟質(くしゃみ、鼻水、アレルギー、遺伝病など)

一種の特異性体質。この体質には、先天性・遺伝性の生理的疾患、先天性・遺伝性の疾患、原発性免疫不全症、アレルギー疾患などが含まれる。

体系

特異性はない。若しくは奇形・先天性の生理疾患が見られる。

条件所見

遺伝性疾患は、垂直遺伝によるものであり、先天性・家族性といった特徴が現れる。

心理面

遺伝的要素の状況により異なる。

発病傾向

アレルギー体質の者は薬物アレルギー、花粉症などに罹り易い。遺伝性疾患、胎伝性疾患など。

環境適応力

適応能力は低い。
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体質別養生法

自分がどの体質かわかりましたか?複数重なる場合もあるので、その時はレーダーチャートにして、どの傾向が強いのかを考えましょう。
ではここからは体質調節の原則と方法をお伝えします。

②気虚質

エネルギー不足で体がよわいので、対策の基本は、培補元気、補気健脾といって、元気を補い、胃腸を健やかに保つことが大切です。

お勧めは、大豆、鶏肉、シイタケ、ナツメ、竜眼肉、はちみつなどです。控えて頂きたいのは、ビンロウや生の大根です。

生活

養生では、夜更かしを避けて、昼寝を効果的に取り入れてください。津kれ過ぎの時、あるいは激しい運動の後に風に当たる行為は避けてください。足三里というツボを常に押しましょう。

散歩やストレッチ、太極拳など穏やかな運動を習慣的にお行いましょう。下半身の運動を重視してください。腰を擦りましょう。足腰を冷さない様にしましょう。

③陽虚質

体を温める力が弱いので、温める力をつける補腎温陽、益火之源という対策を施します。

お勧めは温めてくれる羊肉、牛肉、にら、ショウガなど。控えて頂きたいのは、生モノや冷たいもので、梨や西瓜、緑茶などは避けてください。

生活

冬場は足を保温しましょう。お風呂や足湯を利用してください。夏の冷房は高めに。督脈にお灸をする。または全身が熱くなるまで桃木棒で督脈を20分間叩く様にする。運動は穏やかなもの、激しくないものをつづけましょう。

④陰虚湿

体内を流れる体液や血などの潤い成分が不足してるので、補う滋補腎陰、壮水制火という潤い補給対策を行います。

潤い食材を積極的に摂りましょう。カモ肉、すっぽん、緑豆、冬瓜など。避けるものは、熱くなるもや辛いものは控えましょう。羊肉、ニラ、唐辛子、揚げ物などは控えるようにしてください。

生活

夜更かしや強烈な運動は避ける。高温環境下の作業も避けましょう。有酸素運動をしてみましょう。唾液を飲み込むのも良いです。

⑤痰湿質

体内にドロドロとした病理産物が停滞している状態なので、健脾利湿、化痰泄濁という胃腸機能改善しつつ、余分なものを外に出していく対策が必要。

まずとにかくどの食事もあっさり味にすること。そして昆布やわかめなどの海藻類、冬瓜やキュウリなど瓜類、後はミョウガなど香味野菜、そしてサンザシなど消化を助けるものを摂るようにして、甘い砂糖のお菓子や脂っこいもの、揚げ物、焼き肉、脂身、バターなどを控えましょう。

生活

湿気が多い環境を避けて、梅雨時期などは除湿器を活用しましょう。また散歩やスロージョギングなど、ある程度発汗する運動をつづけることが大切です。

⑥湿熱質

ジメジメの余分な水分と熱が絡まって体内に停滞している状態なので、分消湿濁、清泄伏火という、体内のドロドロをサラサラした状態にして体外に排出しつつ、熱を冷ます対策が必要。

小豆、緑豆、セロリ、蓮根など余分水分を排出するのに役立つ食材や余分な熱を冷ます緑茶や五行草(スベリヒユ)などを摂るようにしましょう。控えるべきものは、羊肉、ニラ、ショウガ、胡椒、山椒、しゃぶしゃぶ、揚げ物、焼き肉など体に溜まりやすいものです。

生活

夜更かしを避けましょう。真夏や湿度の高い時期は屋外での作業を避けましょう。海抜が低い地域や湿気の多い場所に住むのは避けましょう。また、しっかり運動量のあるトレーニングをつづけるほうがよく、水泳、マラソン、登山などはおすすめです。

⑦血瘀質

血瘀質とは血の巡りが悪くなっている可能性がある人なので、活血祛瘀、疏利通絡といって、滞っているものをしっかり巡らせる対策が必要です。

お勧めはお酢、青魚、玉ねぎ、薔薇(バラ)類、かんきつ類など。田七人参もおすすめです。控えるものは脂身の多いものです。

生活

余りのんびりしすぎないことが大切で、規則正しい生活を心がけましょう。ストレッチやウォーキングなど血の巡りを良くする運動をつづけましょう。

⑧気鬱質

気が鬱鬱と巡らず、気分が落ち込みやすく不安定なこのタイプでは、気を巡らせる疏肝理気、開鬱散結という方法を使います。

海藻類、薔薇(バラ)類などを摂りましょう。薔薇は香りを楽しんだり、ハーブティでOKです。香味野菜も良いですよ。避けるべきものは、酸っぱいもの、冷たいもの、生ものなどです。

生活

積極的にアウトドア活動に参加するようにしましょう。秋・冬は特に外に出て太陽の光を浴びる時間を増やしましょう。大衆性のスポーツがおすすめ。ダンスやボールを使うスポーツなども良いでしょう。囲碁や将棋、カラオケなども人とかかわることが良いですよ。

⑨特稟質

今回はアレルギー体質に的を絞って考えます。特に25%以上の日本人が罹患している「花粉症」で考えると、益気固表、涼血消風といって、体表を外敵(花粉など)から守り、炎症や痒みを解消するという方法をとります。

バランスやさっぱり味が大事。玄米や蜂蜜、ナツメなどを積極的に。食事は温野菜中心にしましょう。避けるべきものは、辛いもの、生臭いもの、アレルゲンを含むものなので、そば、エビ、カニ、酒、唐辛子などは避けるほうがよいでしょう。

生活

常にきれいに掃除しておく。部屋は換気する。積極的に体を鍛えて抵抗力を高めましょう。
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まとめ

以上が体質別の養生対策です。中医学を深く知らなくても、この9つの体質の概念をベースとして養生をすすめることで、病気を遠ざけることが出来ます。またもし病に侵されても、普段から養生をつづけておけばいざというときも薬がしっかり効いてくれます。

健康を維持するためには自分の体質を知り、自分が陥りやすい傾向や食生活の偏りなどを修正していくことが大切です。国家など大きなことでなくても、家庭内での医療費の削減にも、この体質別対策はとても有効です。家族みんなで健康増進しましょう。